「僕が勤めたレストランで、めちゃくちゃ繁盛店があって。そこがめちゃくちゃドレッシングがおいしかった。県外から買いに来るんですよ。ドレッシングだけですよ」

 「新人で仕込むんですけど、味の素めっちゃ入ってた。お客さんたちは『これ何かな? アンチョビーかな?』『いや、絶対なんかだし入ってるよね?』『絶対企業秘密だよね』とか。僕はレシピ見て、味の素が異常に使われてて。とんでもないところに来ちゃったと」

「使わないとか、エゴだなと思った。自分の料理とか『俺は味の素使わなくてもうまい料理ができる』っていう。『自分は腕があるんだ』っていうのを、誇示したいんじゃないかと。僕自身がね。それって、人においしいものを食べさせるところに帰着してないなと思う。人においしいものを食べさせるのが、真の目的であれば、別に味の素を使っても使わなくてもいい。でも頑なに『味の素は使わない。偽物だ』と思ってて。この気持ちこそが偽物だと思った。うまいもので喜ばせるのが目的だから」

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