──『宇宙よりも遠い場所』のお話でもう一つ伺いたいのですが、お母さんが写したオーロラの写真を見る場面で、報瀬が最初にPCを見たタイミングではなく、日本に帰ってから送られてくる形にされていますよね。そこは何か意図があったのですか。

花田  それはちょっと意地悪をしたというか(笑)。まあ、そんなことはないのですが、そのまま(南極の基地で)見てしまうと当たり前の展開になってしまうかなという意識が働いたのかもしれません。それが大きいかなぁ。

 それより、あのシーンを書いた時も思ったし、『ラブライブ!スーパースター!!』(2021)を書いていても思うんですけど、今の人にとってはもはやコミュニケーションツールが会話ではなくてスマホなんですよね。そこは実はすごく考えさせられます。多分、演出家さんも同じだと思いますが、文字を画面に出さざるを得ない場面は、果たしてそれでいいのかということは皆さん考えているのではないでしょうか。

 確かにスマホの画面を字幕で出して読ませればいいという意見も分かるのですが、でもそれって映像作品なのか。台詞なのか。という気がしてしまう。それにやっぱり皆さん声優さんの声も聴きたいよねということにもなってきますし。そういうところは非常に悩んでいます。これは日本だけではなく、海外の作品でも問題になっているのではないでしょうか。さっき話に出た『シャーロック』なんかもスマホの文字をどうスタイリッシュに出すかというところですごく模索しているのが分かるし、逆に映画の『クレイジー・リッチ!』(2018、米)のSNSで拡散している様を視覚的に見せる演出なんて、「なるほどこんなこともできるのか」と感動したりもしました。そこは多分、映像をやっている人はみんなこれから開拓していく部分だという気がします。

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