──花田さんはお好きな脚本家として宮崎晃さん(監督、脚本家。代表作に『男はつらいよ』シリーズや『あらいぐまラスカル』など)を挙げられていますね。どういうところがお好きなのですか?
花田 宮崎さんのシナリオはキャラクター性がその台詞にちゃんと乗っているというか、そのキャラクターだからこういうことを言うというのがすごくしっかりされているんです。例えば『トム・ソーヤーの冒険』(一九八〇)という作品で、トムが格好いい男の子と喧嘩する話があるのですが、その時、ハックは喧嘩なんかせずに謝ればいいって、当然のように言い出すんですよ。それをトムは全く理解できない。けど、一方ハックもトムが痛い思いまでしてなぜ喧嘩なんかするのか全く理解できない。そんな二人のすれ違いが実に面白く描かれていて、それを見ると、子供にも価値観が明確にあるんだということが、観ている子供にもきちんと伝わる台詞になっている。当時、僕は小学生くらいだったのですが、それでもそういうことが普通に伝わるのはすごいことだなと思いました。これは今でもすごく大事にしているところです。
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