小岩井さん:
はい。じつは私、人の顔を認識するのがあまり得意ではないようで、いまだに家族の顔もパッとわからないことがあるんです。大人になって周囲の人と話す中で、「みんなは家族の顔を見てわかるものなんだ」と初めて気づいたくらいで。それに、子どものころから「私が見ている青色は、他の人にとっての青色じゃないのかもしれない」と考えていたんです。でも、そんな話ができる相手はいませんでしたし、変わった子だと思われたくなくて言えませんでした。
自分にとっての当たり前が、他の人にとっては違う。そういった「世界の見えかたのズレ」によって、人生で困ることもありました。
当時の私は周りの友達や社会というものに、うまく馴染めていなかったんです。いじめられていたわけではないのですが、自分が未熟だったこともあり、どうすればみんなの中に混ざれるのかがわからず、ひとりで悩むことが多くて……。
だからこそ、「見ている人によって世界って違うのかもしれない」という事実を突きつけてくれるあの作品が、当時の私にとっては本当に大きな救いだったんだと思います。