──実は花田さんの台詞使いを聴いていて、例えば誰かがブツブツ言っているところに「言ってるし」みたいなツッコミを入れる感じがすごく活きていると感じて、これは漫才のテンポだなと思ったのですが。

花田  特に意識してやっているということは全然ないのですが、でも言われてみると、そうかもしれません。ただ、今の例で言うと、分かりやすくしようと意識してあえてツッコミ台詞を書くということはあると思います。僕は無言の表情だけで感情を伝えるとか、二重三重の意味を持たせる謎な台詞とかをお客さんが理解してくれるかということに関して懐疑的なんです。特に今は画面なんか一切観ずに、スマホを見ながら音声だけでアニメを観ている視聴者が少なくない。TVアニメの脚本を書く時は、そうやって観ている人にもある程度分かるようにした方がいいのでは、と思っています。特に『ラブライブ!』(2013-14)みたいに視聴者の数が多い作品は、意図的に台詞で全部説明したり、くどいくらいにキャラクター全員を喋らせたり、という書き方をあえてしてますね。ドラマの『渡る世間は鬼ばかり』1990-2011)ってどの週のどの場面から見ても、今何が起きていて、何の話題をしているか、大体分かるように会話で全部説明してくれるじゃないですか。『ラブライブ!』シリーズは常にあのラインを意識して書いています。

 もちろん、視聴者の中にはちゃんと映像を観て意図を汲み取っておられるお客さんもいますが、これからのTVアニメは、そうじゃないお客さんにも全部分かるようにしておかなければならない時代に入っていくだろうなと思っています。

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