花田  結局、教えてもらったいわゆる正しいと言われるやり方にこだわっていてもそれだけじゃダメだなというのは、仕事をやっていると感じることがあります。小説だってあかほりさんの小説は、小説ではない、なんてよく怒られていましたし、今の〝なろう系〟だって、いわゆる正しい小説からは大きく外れているでしょう。シナリオも同じで、それに目くじら立てて、自分は正しい方法を貫くんだ、これはドラマとして間違ってるって言ってても仕事がなくなるだけなので、〝へえ。今、こんなやり方が流行ってるんだ、面白い時代になったね〟くらいの感覚で、興味本位で一回全部受け入れてしまう方が柔軟性というか臨機応変な対応はできますよね。

 とはいえ自分の感覚を全部合わせられるかというとさすがに無理なので、単純に自分が面白いと思ったらやるし、つまらないと思ったらやらないという線引きはしています。これは後輩にもよく言いますが、自分が面白く感じていないものを書くことほど、ストレスを感じる作業ってないと思うんです。そういう仕事を続けていると、自分の感受性も狂っていくので、たとえ仕事がなくても、自分がどうしても面白いと感じられない原作や企画はどんなに大きなタイトルでも正しい方法で作られたものでも、引き受けない方がいいと思いますね。

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