新潮社は、文芸中心の出版部と雑誌部門とで、別の会社と言えるほど乖離があるのが特徴だ。東西線の神楽坂駅から延びる道路をはさんで両部門は道の両側に対峙しているのだが、道をはさんで別の会社があるようなものといった言い方がなされてきた。出版部の姿勢は、島崎藤村の『破戒』に差別問題への取り組みの歴史を長い解説で示すなど、差別や人権については前向きな取り組みを行ってきた。
それに対して『週刊新潮』は、影の実力者とされた斎藤十一さんや、創刊から長年編集長を続けた野平健一さん(いずれも故人)が作り上げた「新潮イズム」と呼ばれた路線を長年踏襲してきた伝統がある。右派、タカ派と評された路線で、かつては日教組や人権団体を叩く雑誌として知られていた。ただ同時に皇室などへもタブーを恐れず踏み込むのが特徴で、かつてはその路線が支持されて、『週刊文春』を部数においても凌駕していた。
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