ニホンオオカミ、エゾオオカミである。両方とも「害獣」として我々の祖先の手によってこの世から永久に消えた種だが、実はこれらのオオカミがいたことで、山や森のバランスが保たれていた。
なぜかというと、シカを狩る捕食者だったからだ。先ほどの林野庁の資料にあるような自然破壊が防げていたのは、ニホンオオカミやエゾオオカミがシカを適度に減らしてくれていたからだ。オオカミがいた時代、山や森は豊かで木の実も豊富にあった。
クマはそれを食べて冬眠に備えていればよかった。また、クマは時たまオオカミからエサを横取りするので、捕食されたシカの死骸を食べることもあった。生態系の中で腹がしっかり満たされているので、わざわざ市街地周辺まで下りる必要がなかった。
しかし、日本ではオオカミは絶滅した。捕食者が消えてマタギのような職業ハンターも激減したことで、脅威がなくなってしまったシカは爆発的に繁殖することになる。
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