投稿者: | 2026年3月24日

サルデーニャ島の伝統食、「カース・マルツゥ(Casu Marzu)」だ。

直訳すれば「腐ったチーズ」だよ? 

なぜなら、このチーズは「生きている」からだ。比喩ではない。文字通り、無数のうじ虫がその中で蠢き、飛び跳ね、チーズを食い荒らしている状態で食べるものだからだ。

ギネスブックに「世界で最も危険なチーズ」として登録されたこともあるこのチーズは、欧州食品安全機関(EFSA)の衛生基準に真っ向から喧嘩を売っている。当然、販売は禁止。市場には出回らない。イタリア国内でさえ、法的には「違法」な存在だ。

製法は狂気じみている。まず、ペコリーノ・サルド(サルデーニャ産羊乳のチーズ)を用意する。だけど、彼らは熟成の段階で意図的にチーズの外皮をカットし、チーズバエを招き入れる。ハエはチーズに卵を産み付け、やがて孵化した数千匹もの幼虫がチーズを食べ始める。幼虫の体内で消化されたチーズの脂肪分は分解され、固かったペコリーノは、信じられないほど柔らかく、クリーミーなペースト状へと変貌する。サルデーニャ語で「ラグリマ(涙)」と呼ばれる琥珀色の液体が滲み出し、強烈なアンモニア臭を放ちながら、カース・マルツゥは完成する。

食べる時のルールも凄まじい。中の虫が生きているうちに食べなければならないのだ。なぜなら、虫が死んでいるということは、チーズが本当に腐って毒化している可能性があるから。つまり、皿の上で元気に動き回るうじ虫と対峙しながら、それを口に運ぶ必要がある。しかもこの幼虫たち、身の危険を感じるとバネのように体を曲げ、15センチほどジャンプして飛び出してくる。だから食べる時は、目を守るために手で覆うか、ゴーグルが必要だと冗談半分に言われている。

食べたことのある勇者に聞けば、その味は「舌が焼け付くようだ」という。強烈な辛味、鼻を突き抜けるアンモニアの刺激、そしてねっとりと舌に絡みつく濃厚なクリーム。口の中でプチプチと弾ける幼虫の食感……想像しただけで、背筋が凍るのではないだろうか。

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