フランスは欧州諸国の中でも特にエアコンの普及率が低い。フランス環境移行庁によると、2025年時点の住宅におけるエアコン普及率は24%程度だ。2023年の18%から2年間で大きく増えたものの、依然として住宅4軒のうち3軒にはエアコンがない計算となる。発電量の約70%を原子力発電に依存する原発強国で、電力供給には余裕があるにもかかわらず普及率が低いのは、独特の文化的背景があるためだ。人工的な風は健康を害するという認識や、エアコンは地球温暖化を助長するという環境意識、さらに冷房を米国型の過剰消費の象徴とみなす風潮などが重なった結果だ。数百年の歴史を持つ建築物が多いパリでは、文化遺産保護のため建物の外壁への室外機設置を禁止する規制もある。