──スクールアイドルというアイデアに関しては、どう思われていたんですか。
花田 素晴らしいな、と思っていました。アニメ界でアイドル物は流行らないという定説があって、『ラブライブ!』の前に『アイドルマスター XENOGLOSSIA』(2007)という作品を書かせてもらった時も、プロデューサーに「アニメとアイドル物は合わない」という話をされました。確かに、それは正しい部分もあって、普通にアイドル物でちゃんとドラマを作ろうとするとどうしても芸能界が出てきてしまうので、話が生々しくなるんですよ。芸能事務所がどうだとか、売上が、スキャンダルが、とか。しかもそこを描くと、どうしても大人が絡んでくる。現実のアイドルって実は大人の世界に少女が振り回される物語なんですよ。正面から作ると、明るい華やかな表舞台に対して、暗く辛い裏舞台、みたいな話にどうしてもなってしまう。でも、そこにスクールと枠をつけることで、大人の芸能界の世界を無視して、女の子が主人公でかつアイドルを語ることができるようにした。良いアイデアだと思います。
ただ、後になって『ゾンビランドサガ』(2018)というゾンビの女の子がアイドルになるというアニメを観て、素晴らしいと思いましたね。悪徳マネージャーも、芸能界のドロドロも普通に描いて、逆にアイドル側をゾンビというファンタジーに振ることで作品を生々しいところから遠ざける。僕からすると逆転の発想で、『ラブライブ!』のプロデューサーと「あれは発明だよね、面白いよねえ」と話していました。
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