「チャブリア判事は、著作権で保護された資料を用いて、生成AIモデルの訓練をすることは、明らかに変容的であり、市場への悪影響が証明されない限り、フェアユースに該当すると判断しました。ただし判事自身はその結論に複雑な思いを抱えていたようです。判断理由に挙げた市場への悪影響という考え方は、確立されたフェアユース判例とまったく歩調を合わせていません。市場希釈という考えは戯言のように聞こえます」
判決文で、チャブリア判事はこう書いている。「多くのケースにおいて、著作権で保護された作品を権利者の許可なく、生成AIの訓練に使用することは違法となる。著作権侵害の責任を回避するためには、企業側が著作権者に対し、利用の対価を支払う必要があるだろう」
米エモリー大学の教授で、法学とAIを専門とするマシュー・サグは、「一見すると、今回の判決は、AI業界にとっての勝利に見えるでしょう」と語り、チャブリア判事がAIの学習について「変容的」であると認めた点は、メタにとって明確な勝訴だったと指摘する。
「しかし、原告の著作物をAIが学習することで“無限の量の画像、楽曲、記事、書籍などで市場を氾濫させ”、元の作品の市場に害を与えるとの懸念について、裁判所が非常に重く受け止めていた点は見逃せません」とサグは語る。「むしろ、証拠を提示しなかった原告側よりも、裁判所のほうが深刻にこの問題を捉えていた印象すらあります。原告が論点を主張しなかったことを、ここまで判事が嘆く判決は、見たことがありません」
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