「ChatGPTは作詞に向かないなって、はっきり思いました。『岩礁のきらめき』の『なぜ 空は碧く澄みきっていたの / 昨夜 吹き荒れた嵐がうそのように』という歌詞、メロディーの文字数、『あなたは松任谷由実です』というコマンドを入れて、続きを作らせたんです。そしたら、ちっとも面白くなかった。それはもうすでに自分が手を染めたものだから、まったく新鮮じゃなかったんです」
「それと、日本語は文字になっていないところに情報があるんです、行間とか。しかもそれに音律が乗ると、もっと立体的に想起されるものが満載なんですよね。『古池や』って言ったときに、多くの日本人が、森閑とした風景や静寂を思い浮かべるじゃないですか。『蛙飛び込む水の音』も、それによって静寂が際立つ。全部の言葉が連動していて、言葉と言葉の間にたくさんの情報がある。私の『中央フリーウェイ』も、中央フリーウェイが滑走路に見えていて、幻想空間を出しているわけで、やっぱり余白がすごく大事。それがAIには学習できないと強く思いました」