Amazonがプライム会員の登録フローにふんだんに取り入れた、古典的な「ゴキブリホテル」です。害虫駆除業者の罠にちなんで名付けられたこのシステムは、入るのは簡単だが、抜け出すのはほぼ不可能です。プライムへの入会も解約も、まるでIQと忍耐力の試練のようです。

うっかり登録してしまうのは非常に簡単です。チェックアウト時に、プライムの無料配送（多くの場合、デフォルトで事前選択されています）を提供する巨大な高コントラストのボタンが表示されます。1回クリックすると、好むと好まざるとにかかわらず、30日間の無料トライアルが開始されます。いったん登録すると、解除するのは長旅になります。キャンセルの流れは迷路をくぐり抜けるように強制されます。最初に「確認」を求めるページ、次に一時停止を促すページ、失う特典に関する警告ページ、そして最後に、継続すれば割引料金を提供するという罪悪感に満ちた画面が表示されます。これは意図的に混乱させるために設計された鏡の回廊です。さらに悪いことに、Amazonはこのキャンセル障害物コースを「プロジェクト・イリアス」と呼んでいたと報じられています。これは、10年かけて脱出した戦争を描いた古代の叙事詩にちなんで名付けられました…

最近、Amazonはこのデザイン戦略が原因で画期的な訴訟に敗訴し、25億ドルという巨額の和解金の支払いを命じられました。これは史上最大の消費者保護訴訟であり、よく知られたダークパターン「ローチ・モーテル」が争点となりました。この訴訟を歴史的なものにしているのは、巨額の金額ではなく、先例となることです。この規模の訴訟で初めて、裁判所はボタンの配置、フローの順序、デフォルトの選択、フリクションの戦略的な利用といったUI/UXの決定を欺瞞の道具として扱いました。ダークパターンは正式に法的責任となるのです。