鬼頭:アフレコでいうと、やっぱり緒方さんとの共演が、私の声優人生に大きく影響を与えていただいたと思っています。それまで私は、マンガを読んでいて頭の中でイメージする声を再現するという意識で、アニメのアフレコにのぞんでいたんです。

でも、緒方さんは現場での共演者のお芝居だったり、相手との感情だったりをすごく大事にしている役者さんで。その緒方さんから、第1期が録り終わったあとの飲み会で「君はこのままだと行き詰まるかもしれないな」と言われたんです。

で、私が「なんでですか?」って聞いたら「録り直しでもう1回やるときに、私がお芝居をどれだけ変えても同じものが返ってくるんだよね」と。

言われてみると、私、確かに相手のセリフを聞けていなかったんですよね。私の中で「寧々はこう喋るもの。こういう感情で喋るんだ」と考えて、私と寧々という「個」でお芝居をしていた。でも掛け合いって本来、相手のセリフを聞いて、それに対して返すことで出来上がる「和」でお芝居をするものなんですよね。そのことに、緒方さんの言葉で気づきました。それ以来、相手の感情やお芝居が変わるなら私のお芝居も変わるはずだと意識するようになり、相手のセリフを聴いて、その反応としてセリフを喋るようになりました。

それまではアフレコ前の台本チェックも「ここの台詞はこういう感情」「話の流れとして、ここはこういう言い方」というのを家で決めてから練習していたんです。

でも、それをしすぎると演技が決め打ちになってしまうので、その準備は最低限でいいのかなと思うようになって、逆に練習量は減らしていきました。ただ、現場では相手のセリフに対してとっさに感情をのせて反応してお芝居をしなければいけないので、その変わりキャラクターの感情や性格のほうを、より考えて自分の中に入れるようにして。

すごくやりやすくなって、音響監督さんのディレクションに対しても、現場でより柔軟に変えることができるようになりました。家でお芝居を決めてくると、「自分の中ではこう」という固定観念がなかなか消せず、現場のディレクションにもあんまり応じられないことがあったので。

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