裁判では3年前にオープンAI取締役会で起きた「アルトマン氏追放事件」も取り上げられた。2023年11月にオープンAIの一部創業メンバーと取締役会構成員は「アルトマン氏は安全検討を経ておらず取締役会に正直でない」として彼をCEOから解任した。だが社員と株主の激しい反発を受け5日でCEOに復帰させた。マスク氏の弁護人はこれを根拠にアルトマン氏の信頼性を問題にしたりもした。アルトマン氏はこれに対し「むしろマスク氏がオープンAIで低成果者の解雇を要求するなどAI研究所に合わない方式を強要し、彼が去った後に構成員の士気が上がった」と反論した。
ウォール・ストリート・ジャーナルなど現地メディアではオープンAIに有利な裁判の流れという評価が多い。マスク氏を除く、ブロックマン社長、オープンAIに130億ドル以上を投資したマイクロソフトのサティア・ナデラCEOらオープンAIの設立と投資に参加した主要人物が証人として出席し「オープンAIは設立初期から営利化を念頭に置いていた」という趣旨で発言しているためだ。予測市場であるポリーマーケットでも「マスク氏が訴訟で勝つ」にベッティングした割合は30%にとどまっている。
審理は今週にも終わり、陪審員評決と判決は今月中に出る可能性が高い。訴訟結果は世界のAI生態系全般に少なくない影響を及ぼすものとみられる。マスク氏が勝訴する場合、営利化構造自体にブレーキがかかり、最大1兆ドル規模のIPO日程にも影響が避けられない。オープンAIが勝訴する場合、莫大な投資を基にした民間中心のAI開発競争はさらに強化されるという見通しも出ている。