投稿者: | 2026年6月11日

1990年、冷戦終結直後、政治学者のジョセフ・ナイは、国家主体が武力行使、脅迫、賄賂を用いることなく目標を達成する方法を説明するために、「ソフトパワー」という用語を普及させた。ナイによれば、国家のソフトパワーは、その国の文化や政治的価値観、そして外交政策に宿り、その外交政策が他国から正当かつ道徳的権威を持つと認められる程度にまで及ぶ。「ある国が世界政治において望む結果を得るのは、他国がその国の価値観を賞賛し、その模範に倣い、その国の繁栄と開放性のレベルに憧れ、それに倣おうとするからである」とナイは記している。「このソフトパワー、つまり他国に自分が望む結果を望ませる力は、人々を強制するのではなく、取り込む力である」。

ナイのこの概念は、冷戦中に米国がソ連に対して成功裏に展開した挟撃作戦を説明するものである。米国の「ハードパワー」には、数分単位で迅速に対応できる核兵器、最大350万人の軍人、そしてアジア、ラテンアメリカ、中東における血みどろの代理戦争への関与を厭わない姿勢が含まれていた。一方、米国の「ソフトパワー」には、海外援助、ハリウッド映画、ロックンロール、リーバイスのジーンズ、そして中流階級の繁栄が含まれていた(ニクソン大統領とソ連のニキータ・フルシチョフ首相との「キッチン・ディベート」を参照)。ナイが2019年に述べたように、「ベルリンの壁は砲撃によって崩壊したのではなく、それまでの数十年間に鉄のカーテンを突き破ってきた思想に影響を受けた人々が振り回したハンマーやブルドーザーによって崩壊したのだ」。

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