フィットネスアプリの開発に携わった際、オンボーディングフローの最後に「フィットネスの旅を始めよう」というボタンが表示されました。ボタンのデザインは素晴らしく、画面もすっきりとしていて、コピーもやる気を起こさせるものでした。しかし、完了率は期待外れでした。
数回のセッションを実施したところ、パターンは明らかでした。参加者は画面を見てうなずき、アプリを閉じてしまうのです。理由を尋ねると、興味深い答えが返ってきました。「まだそこまで踏み込む準備ができていないんです」「ちょっと見て回りたかっただけなんです」「『旅』と呼ぶと、自分が思っている以上に大げさな感じがするんです」。
そのボタンは、ユーザーがまだ自分がフィットネスの旅をしていると決めていない段階で、ユーザーにフィットネスの旅をしている人物だと認識させるように促していた。視覚的なデザインに問題があったわけではない。問題は、その言葉に込められた心理的なプレッシャーだった。
ボタンを「アプリを探索する」に変更しました。位置もサイズも色もそのままです。すると、完了率が向上しました。「アプリを探索する」という表現が絶対的に優れているからではありません。その瞬間のユーザーの実際の状態と合致していたからです。ユーザーは好奇心を持って、閲覧しているだけで、まだ購入を決めてはいませんでした。その現実を反映したボタンはクリックされ、まだ本当の自分ではない誰かになろうとするボタンは無視されました。