最大の賭け──AIによって動くロボット──に本気で投資するかどうかの大きな転換点にあったのだ。AIはロボットに聞いたこと(話し言葉と書き言葉)を理解しそれを行動に変換する能力、あるいは見たもの(カメラ画像)を理解してそれを場面や物体に変換し、それに基づいて行動する能力を与えつつあった。そしてロボットは物体を掴むことを学習していた。

プロジェクト開始から7年以上がすぎ、ロボットはグーグルの複数の社屋全体に配置されるようになっていた。1種類のロボットが、カフェテリアのテーブルを自律的に拭く、会議室を点検する、ゴミを分別するなど幅広いタスクをこなしていた。

OpenAIがChatGPTを発表して2カ月後の23年1月、全般的なコストの問題を理由にグーグルはEveryday Robotsを閉鎖した。多額のコストと長い時間をかけた事業が終わることに、関係者全員が衝撃を受けた。

現実世界でAIに身体を与えることは、国の安全保障の問題であり、極めて大きな経済機会でもある。グーグルのようなテクノロジー企業が未来の労働力を補完するAI搭載ロボットなどの「ムーンショット」事業に投資できないなら、誰がするのだろう?

シリコンバレーやその他のスタートアップエコシステムは、ロボット開発に本気で取り組むだろうか? 仮にそうだとして、そうしたプロジェクトに忍耐強い長期資本を調達できるだろうか? そうは思えない。

米国はAIの分野では先行しているが、その物理的表現、すなわちロボットの製造にはスキルとインフラが必要で、最も傑出した中国をはじめとする他の国々がすでに先を行っている。

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