写真と絵画の関係について考えてみましょう。写真は革新的技術としては非常に興味深いもので、芸術制作だけではなく実は雇用にも大きな影響を与えました。19世紀に写真技術が誕生した時、多くの美術評論家や画家はその参入に異を唱えました。評論家の言い分はこうでした。「写真は未熟な者の領分であり、真の芸術を創作できない」。これは、今日のAI生成画像に対して人々が抱く、「魂がない」「芸術ではない」といった感想に通じます。
しかしふたを開けてみれば、画壇の大部分は写真の誕生に影響を受けませんでした。写真は画像を生成する一つの方法にすぎず、あらゆる画像をつくれるわけではなかったからです。非常に高い技術を持つ画家は、写真とは異なる取り組みをしていたので影響を受けませんでした。
たとえば絵画では、印象を大きく左右するのはキャンバスに載った絵の具の質感です。一方、写真はフィルムに現像された質感のない画像であり、印象はまったく異なります。しかし肖像画は写真に代替され、雇用は大きな影響を受けました。画家に肖像画を描いてもらうより、時間がかからず安く済む写真撮影を選ぶ人が出てきたのです。
雇用への影響はマイナス面だけではありませんでした。写真は肖像写真という新しい市場を生み出し、新たな雇用の創出にもつながりました。肖像画を描くことはできなくても写真を撮る仕事ならできると、新たにその職に就いた人もいました。写真技術のまったく新しい可能性を見出した人もいました。一部の画家は、新しい形の芸術を創造するツールとしてすぐさま写真を取り入れたのです。
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