野球のボールを投げたとき、ボールは空中を移動しているのだから、そこに運動エネルギーが生じていることは明白だ。ところが、アインシュタインの方程式によると、静止しているボールにもエネルギーが生じていることになる。実際の数値で考えてみよう。質量0.149kgの野球のボールが、プロ野球選手の投球スピードである秒速40メートルで空中を移動しているとする。このボールの運動エネルギーは119ジュールだが、静止質量エネルギーは1.33 × 1018ジュールとなる。かなり大きな数字だ。しかし、驚くのはまだ早い。
米国の2022年の電力消費量は4兆700億キロワット時(kWh)だった。エネルギー量に換算すると1.46 × 1019ジュールとなる。これは、野球のボールを11個用意し、その質量エネルギーをすべて電力に変換できれば、米国全体の1年分の消費量を十分にまかなえることを意味する。
原子力発電の仕組みがまさにこれだ。質量の大きいウラン元素に中性子を当てて分裂させると、バラバラになったウラン片の総質量は元のウランの質量よりも小さくなる。失われた質量がエネルギーに変換されたのだ。この方程式のcの値は2乗されている。つまり、わずかな質量が大量のエネルギーを生み出すことを示しているのだ。
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