水がなくても平気で生き続ける。放射線を浴びても耐えられるうえ、絶対零度まで冷やしても死なない。体長は1mm以下と肉眼では見えないほど小さいにもかかわらず、まさに地上最強と呼ぶのがふさわしいクマムシ。緩歩動物門に属する4対8本の足を持つ生き物は、意外に身近な存在だ。
 
「地球上のどこにでもいる。深海からヒマラヤ、極寒の南極でも見つかる。あるいは近所の公園でも探せばたぶん見つかるはずで私も新種を発見しています。そんなありふれた生き物です」

「たしかに節足動物のアルテミアや、これをペット用に改良したシーモンキー、田んぼにいるカブトエビ、あるいはネムリユスリカもボウフラのときには乾燥に耐えて生きています。これらも乾眠によって乾燥に耐えます。ただし、これらの生き物とクマムシには決定的な違いがあります。ほかの生き物がライフステージの特定の時期のみ乾燥に耐えられるのに対して、クマムシだけはいつでも大丈夫なのです」
 
 乾眠とは、体内の水分をわずか2%程度にまで減らして、代謝を止めて生命活動を停止する状態のこと。このように生命活動を停止した状態を総称して「クリプトビオシス」と呼ばれる。
 
 体内から水分が失われれば、普通の生き物は生きてはいられない。けれども乾眠できれば、生き残れる。乾眠できる生き物はクマムシのほかにも、枯草菌や酵母菌などの胞子形成する微生物、コケや復活植物などの植物、ワムシ、線虫、アルテミアやユスリカなどがいる。
 
「体内に水分がないとは、溶媒のない状態を意味します。溶媒がなければ体内で化学反応は起こらない、すなわち代謝が完全に止まってしまう。普通の生き物で代謝の停止とは、すなわち死を意味します。ところがクマムシの場合、代謝が止まっても死んではいない。なぜなら水を与えれば代謝が復活する、つまり生き返るからです」

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