──花田さんは京都アニメーションの作品も幾つか手掛けられていますが、その場合、京アニの得意とする日常的な作画を意識して脚本の書き方を変えることはありますか。

花田  京都(アニメーション)さんの場合はあります。京都さんは普通の作品だとこんなに長く同じシーンが続いたら飽きるよなというところでも、画の力で1シーン持たせることができると思っているので、それで台詞の方も途中で切らずにずっと続けることはあります。例えば喧嘩で言い合いするところも、長台詞で書くとコンテさんが苦労されることがあるので、普通は場所を変えてみたり、印象的な台詞だけ残してコンパクトにしてしまったりするのですが、京都さんだとそのまま長回しでも十分観られるシーンになるんです。実写で、役者さんの演技が乗っかるから止まっている画でも迫力十分みたいなことは当たり前のようにあるのですが、それと同じことを京都さんはアニメの動きでやってしまう。それだけで普通のアニメとは違う映像にもなるわけで、それは活かしたいなというふうには考えます。

──実際にどういうシーンで長台詞を書いているのですか。

花田  『響け!ユーフォニアム』(2015-)のあすか先輩に食ってかかるシーンなんかは結構長いシーンになっていますが、そこは当初から意図していたもので、特に違和感なく観られるものになっていると思います。一方で、『中二』(『中二病でも恋がしたい!』、2012-18)なんかは、当初からそういう作品にしようということもあって、意外とリアリティーな動きや世界にはこだわらない方に振りました。

 他にも、日常芝居ということで言うと、『ユーフォニアム』では楽器の練習をしながら喋るところとか、チューバをちょっと吹いて、でマウスピースから口を離してちょっと喋るなんて芝居も、普通のスタジオだったらあまりの大変さに「無理です」となってしまうのですが、京都さんならと思ってあえてト書きを入れたりはしますね。〝クリームが挟んであるクッキーを剥がして、クリームの部分だけ食べる〟とか、普通のスタジオだと書いたところで無視されるようなト書きも、京都さんは状況に応じて画にしてくれたりしますし、そういう映像があるだけで(ストーリーが)よくある話だったとしても、作品として他のスタジオとかには出せない新鮮さが出ますしね。

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