とくにオーディションのときには、アクロバティックさらさらを内包したときのアイラのお芝居も一緒にやらなくちゃいけなかったんですよね。オーディション用の台本の中に、ちゃんと「アクさらアイラ」のシーンが入っていて。
元々のアイラの声も想像できていないものだから、かなり手探りで提出したような覚えがあります。
それが、原作を読んでいる段階ではあんなに想像ができなかったのに、現場に入ってモモ役の若山詩音ちゃんと、オカルン役の花江夏樹さんお二人のお芝居を聴いたときに、「あっ、あの二人ってこういう声だったんだ!」とめちゃくちゃ腑に落ちたんですよ。
その説得力のあるお芝居にとても助けられて、「この二人がそういう表現なら、アイラはもう少し毛色が違ってもよさそう」と思えました。
アイラは自分のことを“美少女”と自称してはばからず、その立ち振る舞いもちょっと現実離れしたところがあるので、「全部セリフっぽいほうがいいかも」と思って。
引用ジャングルは同名のTumblrページからインポートしています
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途中から自分でも「ハイブリッドで行こう」と思うようになって。
エンタメって基本的にはすべて虚構なので、その虚構の中で一瞬、現実にリンクするような感情が表現されたら、その瞬間、見る人は「はっ…!」となると思うんです。「なんでだろう、このセリフ急にやたら生々しい」みたいな。
それで、台本を読んでいて「ここは生っぽさを入れてもいいかも」と感じたセリフをチェックしておいて、いざ現場でやってみたら、意外とすんなりOKをもらえたんですよね。そのとき、「こういうやり方なら表現できるんだ」と思って。
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声優になってから一度ぶつかった大きな壁があって。それが、「アニメ芝居ができない」ということだったんです。
“アニメ芝居”は言葉で説明するのが難しいのですが、簡単に言うと「現実でやったら不自然だけど、アニメの絵に合わせるとリアリティが出るお芝居」ですかね。
それまでの私のお芝居は、「もしそのセリフを私が現実で言うとしたら、どう言うか」を意識した喋り方でしたが、「それだと、生々しすぎてアニメの絵には合わない」と当時のマネージャーから怒られてしまって。「頼むからアニメ芝居を覚えてくれ」と。
自分でも出演作を観ていて、「絵に合ってないな」と思うことは度々あって「これ、どうしたらいいんだろう」とは思っていたんです。
マネージャーさんの言うとおり、「アニメの絵に合わせると自然になるお芝居」が存在しているのは頭ではわかっているけど、一方で「そんな人、現実では見たことない」と思って16〜17歳の頃は、かたくなにアニメ芝居をやるのを拒んでいました。
でも、「そうしないとオーディションに受からないよ」とも言われてしまって。
自分の理想のお芝居と、アニメ芝居の間には埋められない溝があって、けっして納得はできなかった。でも「覚えるしかない」と思って、アニメ芝居を体に叩き込んだ時期がありました。
そうすると、やっぱりオーディションにはすごく受かるようになるんですよね。だけど、自分としては腑に落ちていない感覚がずっと大きくて。
「説得力は増したかもしれないけど悔しい」というのをずっと感じ続けているような気がします。未だに、自分はお芝居のことがなんにもわかっていなんだろうな。
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――ライターで言えば「しかし」がそうです。原稿では見かけるけど、実際の会話ではほとんど登場しない(笑)。
佐倉:やっぱり!そういうのありますよね?(笑)
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セリフを見たときに「ふつう、こんな言い方しないよな」と当時から思っていました。例えば、「踊っているわ」というセリフを文字に起こすと“い”が入るけれど、喋るときには「踊ってるわ」と省略することが多いですよね。マダム的な人は「いるわ」と言うかもしれないですが(笑)。
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ボイトレの先生に「佐倉さんは声に特徴があって発声がしっかりしているから、声の仕事が向いていそうだね」と何気なく言われたことがあって、それが頭に残ったんです。
考えてみたら、声優になればステージに立たなくていいし、顔を出さずともお芝居ができる。……当時の印象です(笑)。その辺りから「自分にはこっちのほうが向いているのかも」と思うようになってきました。
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佐倉:例えば、私が聴いているラジオのパーソナリティにしたって、きっとラジオでは見せない一面がたくさんあるはずですよね。でもコンテンツを受け取っている側は、そこで受け取れるものが、その人の人間性すべてだと思ってしまったりする。
そうすると、聴く人の頭の中にいるそのパーソナリティと、本当のパーソナリティの人間性が乖離していきます。
ラジオは一例ですけど、本当は俳優でも声優でもいろいろな存在にそれが当てはまる。そして、その延長線上には「キャラクターとして人間を消費する」ということがあって、私はそれがすごく怖いことだなと思うんです。
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キャラクターが泣いているときは私自身も泣いちゃうし、けっこうリンクしちゃうほうかも。他の方のお芝居をみていると、泣いているお芝居を泣かずにできる方も全然いらっしゃいますし。
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オープンキャンパス後の体験入学のときです。声優コースで自己紹介の時間があったんですけど、私が名乗った瞬間に先生に「それ地声?」と訊かれて、「そうです」と。
そしたら「あなた、声優にすごく向いているよ」って言ってくださって、声を褒めていただいて。それが参加者みんなにかけているような言葉ではなかったので、本気で「私って声優に向いているのかも」と思い始めたんです。
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本渡:悩みを抱えているからこそ、その人たちの頑張りは輝くし、それが素晴らしい歌と音楽になってみんなの背中を押してくれる。これって現実でも同じことだと思うんです。一見キラキラしているように見えても誰もが悩みを抱えているし、それでも前向きでいる人の気持ちが、誰かの背中を押すんじゃないかと思います。