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  • 「いまのセリフ間違えたな」「イントネーション違ったな」とかそういうことではなくて、そのキャラクターの視点に立って話せたかどうか。例えば、「ヘリコプターに乗っているとき」。隣の人と話すだけでも全力で声を出さないと届かないじゃないですか。

    これはわかりやすい例ですけど、それってどんな場面でも同じことが言えるんです。

  • 「鬱金」という形状不定合金の武器が出てくるんですね。

    漢字が難しいので、台本のト書きにはひらがなで書いてあるんです。「うこん、飛んでいく」「うこん、伸びて縮む」とか。それを悠木さんがずっとふざけて読んで周りを笑わせてくる(笑)。

  • 本渡:そうなんです。ただ、深く考えるっていうのはものすごく大事なんだけど、考えれば考えるほど自分のお芝居が固くなっていく気もしました。

    理性ってすごく大事なものなんだけど、私の感覚だと理性がある状態で演技するとマイクと自分の間で、その“理性”がフィルターみたいに邪魔してしまう気がするんです。でもそのキャラクターからしたらその世界でその状況に立たされたから、しぜんと怒っているわけであって「よし、怒るぞ」と理性的に思ってセリフを喋っているわけではないですよね。

    先ほどの「頭と心の違い」の話にも通じるんですけど、頭で深く考えることは大事である一方、心でお芝居することも大事。いまは「事前に頭で考えていたことを自分に染み込ませて、現場では心でお芝居する」ができたら、一番いいのかな、と思っています。

  • 本渡:「怒る芝居をするとき、ただ怒りを爆発させるだけだと『怒ってます、私!』という説明になる。でも“怒る”って相手が大切で助けたいから怒ることもある。その“怒る”は思いやりじゃない?」と。

    これは一例ですけど、要は、その人物は相手にどんな思いになってもらいたくてその言葉を喋るのか、行動するのか、を考えるということなんですよね。それまでのお芝居ではそこまでセリフを深くとらえて感情表現ができていなかったので、その着眼点を教わったのは、私にとってはすごく大きかったと思います。

  • 本渡:最初の出会いは、オーディションでした。そこで本条 楓(メイプル)という役名を見て、「ほぼ私と同じ名前じゃないですか!」というところから始まったんです。

    これは後日談なんですけど、じつは『防振り』の制作やいろいろなメディアへの展開に携わる中で、原作の夕蜜柑先生にお会いする機会があって、すごく勇気を振り絞って聞いてみたんですよ。「この役の名前って、偶然なんですか?」って。

    そしたら、「すみません、じつは本渡さんのことは存じ上げなくて、検索してみて引っかからない名前にしたんです」と。

    それはめっちゃ恥ずかしかったです(笑)。

  • 当時の私は声が高くて背が低くて、演劇部で舞台をやるときにどうしても妹役や子ども役を任せられてしまうんですよね。それが嫌でもあって。「もっと色々な役を演じたいのに」という思いがどこかにありました。

    でも、考えてみると声優なら、舞台演劇と違って、背が高い女性も妖艶な女性も演じられる。いろんな役を演じてみたいと思っていた私にとっては、「声優って結構いいのでは?」という感じで、わりとすんなり選択したように思います。

  • じつは『鬼滅の刃』って、声優のお芝居に合わせて絵を変えていただくことが多くて、本当に制作現場のみなさんが一切妥協なく作っているんです。だからこそアニメーションとキャストのお芝居、音がぴったりとハマるし、あの和のダークファンタジーな世界観にもすっと入り込めるんだと思います。

  • 鬼頭:そうです。じつは私は結構あるんですけど、「面白そう!やりたい!」「これ、アニメ化しそうだな」とか思った作品ほど、オーディションの直前に新鮮な気持ちで作品に触れたいから、あえて原作を読まないようにしているんですよ(笑)。

  • この業界にもさまざまな方がいますし、自分が演じなかったとしても、きっとキャラを演じられる声優がたくさんいる。

    そのなかで「自分が演じさせてもらうことの意味」は、絶対に考えなきゃいけないですよね。

    「誰にでもできる」ことかもしれないけど「私にしかできないこと」にする。矛盾するように聴こえるけど、そんなふうに思える役が一つではなく、これから先どんどん増えていけばいいなと思います。

  • 鬼頭:究極的にいえば、そのキャラクターが抱いている感情って、その状況に置かれているそのキャラじゃなければわからないじゃないですか。だけど、私たちはそのキャラクターの感情を表現しなければいけない。そのときに、自分が「それに近い感情になったことがあるかどうか」ってすごく大事だと思うんですよ。

    感情ってただ「幸せ」「悲しい」とか一つの単純な感情じゃなくて、「楽しいけどどこか不安」「怖いんだけど頼る」とか、もっと曖昧で白黒はっきりしていない感情がたくさんあるじゃないですか。

    そのキャラと、まったく同じ感情にならなくてもいいけど、近い感情になったことがあるかどうかで、自分の中でそのキャラに対する解像度が変わる気がするんです。

    だから、私自身が私生活でたくさんの経験をして、いろいろな感情になること。つまり、「人生を豊かに過ごす」ことが、声優にとっては大事だと思います。自分の中にないものは、お芝居にも出てこないから。