インターネット、AIなどにおいて、コストコはこうしたことの影響を受けていません。彼らはまるで消費者レポートのプラスαのような存在で、顧客を非常に大切に扱っています。だからこそこの企業は数千億ドルの価値があるのです。

本当にみんなコストコを信頼してくれているんです。例えば、私の母はずっとコストコの会員で、今ではメガネもコストコで買っています。私が飛行機のチケットとかを取ろうとするたびに、「ログインしてコストコのアプリを使って」って言うんです。コストコなら一番お得な価格で一番良いものが見つかるって母はいつも思っていて、実際大体合ってるんです。

商業における私の一番好きなビジネスモデルは、断然コストコです。コストコは粗悪品を売らないからこそ、世界最高の企業だと思っています。高い粗利を取ることを拒否するんです。なぜ拒否するのでしょうか…全く理解できません。なぜ高い粗利を取ることを拒否するのでしょうか？会員権の価値が下がってしまうからです。コストコは会員権で儲けているので、年間100ドルくらいの会員費を徴収するんです。純利益は、基本的に会員数で決まります。会員数は5000万人以上。これはかなりの数字です。会員権の料金を掛ければ、純利益になります。そして、残りはほぼゼロです。もしシャツ1枚で粗利益が50%だとしたら、「それは高すぎる。クビだ。そんなに儲かるわけがない」と言われます。会員権の価値が下がってしまうんです。ホットドッグが150ドルのままだとか、とんでもないことをするんです。

ロティサリーチキンのコストが高騰しすぎたため、彼らは自社で養鶏場を立ち上げました。それが彼らの経営方法のようで、自分たちが誇りに思えないものは一切販売しません。ジェネリックブランドでも同じくらい良いものがあります。カークランドのワイン、ビール、シャツなどです。彼らは現在、ルルレモンに訴えられています。ルルのパンツよりもはるかに安いのに、実際にははるかに良いパンツを作ったからです。つまりコストコは最高です。

Amazonは実は巨大な検索エンジンなんです。そして、あの検索エンジンも汚染されているんです。Amazonで販売している多くの業者は、AliExpressというサイトを利用しているんです。AliExpressは、関税の影響で少し変わってきていますが、6週間後に何かの商品が届くのを400個くらいまとめて、1個2ドルで買い付けます。そして、それに自社のロゴを貼って、今度は25ドルで売るんです。これは実は、先ほど私が指摘した「遅延」の問題、つまり6週間後に何かを欲しがっている人と、明日何かを欲しがっている人の数の違い、という問題に関係しています。つまり、Amazonはそうした裁定取引をしていたわけです。

Googleが始まった頃は、インターネット上での商取引はまだ始まったばかりだったので、検索のほとんどは無料で、あらゆる種類の情報でした。Googleが登場した当初、使ってみて「ああ、これはHotBotとか、他のものよりずっといい」と思ったのを覚えています。

すべて無料で、収益化はされていませんでした。最終的には、ビル・グロスという人物が考案したオーバーチュアのビジネスモデルを基本的に模倣しました。オーバーチュアはアイデアラボ傘下の企業で、後にヤフー傘下になりました。歴史を紐解けば、これがヤフーがグーグルの一部を所有することになった理由です。そして、グーグルを2兆ドル規模の巨大企業に押し上げたのは、まさにアドワーズでした。

商品小売業者のロングテールは基本的に衰退し始めました。そして、実際にこの現象が起きたのを見てきましたが、ファーストパーティコマースの体験もそれほど良くはありません。参入障壁がなく、参入障壁がないということは、資本主義においては消費者にとってはうまくいきますが、n人（nはかなり大きい）のうちの1人、つまり生産者、あるいは非生産者で、製品のマーケティングを行うだけの人にとってはうまくいきません。

一方Casperは、もし私が5年前にCasperのマットレスを買ったとしたら、今でもそのマットレスで寝ています。彼らはそのマットレスを売る新しい顧客を見つけなければなりません。その一方で、マットレスを製造していた元の工場は、今では全く同じマットレスを5,000社ほどの他のメーカーに販売しています。これは全く良いビジネスモデルではありません。つまり、一般的に言って、商品の単なる再販業者であること…そして、これが問題だと思います。多くの人が「ああ、Casperは独自のマットレスだ、Allbirdsは独自の靴だ」と言うでしょうが、彼らは通常これらの製品を作っていません。

例えば、Dropcamがやったことを思い出してみてください。あれはeコマース製品でしたが、少なくともサブスクリプション制でした。今では全く同じ機能を持つカメラが90億台も存在します。つまり、このカテゴリーは拡大し、需要も拡大しているにもかかわらず、状況は悪化していると言えるでしょう。

でも、少なくともGoogleはDropcamを買収したNestを所有しているので、おそらくその分野ではまだかなりの利益を上げているでしょう。

結局のところ、一度きりの取引だと、実際には製品を作っていないんです。例えば、Casperはマットレスを製造していませんよね？中国にOEMメーカーがいて、そこに小さなロゴをつけてCasperと名付けた、といった具合です。そして、GoogleとFacebookでトラフィックを買っているだけです。つまり、GoogleとFacebookこそが、他のどの企業よりも、この分野で真の勝利を収めたということです。すると人々は「わあ、マットレス、これは本当に良いカテゴリーだ。私もやってみよう。深センかどこかに行って、ロゴを貼って、値段で彼らを下回ろう」と思うのです。いつもそうなるんです。

「永瀬さんはいま、何を目指しているんですか？」

　間髪を入れず、返ってきた。

「藤井さんといい勝負をすることです。私はそこしか見ていないので」

「勉強は始めます。でも、明日はさすがにゆっくり起きるつもりです。睡眠時間はちゃんと取りますよ。そういえば藤井さんが、毎日7時間睡眠をとるって言ってたんですよ。メジャーリーガーの大谷翔平選手も睡眠の重要性についてお話しされているそうですけど、たっぷり寝て成功するのは藤井、大谷だけですから（笑）。勘違いする人がいると思うので、これ、ちゃんと書いておいてください。普通は寝る時間を削って、他の人が寝ている時間に努力を惜しまずに行動することで成功するんです。私の場合は年齢というか体質的に寝られないだけで、目が覚めちゃうというのが正しいんですけど」